5にん 22

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健人side

聡がね、変なんだ。月曜日に帰ってきておかしいと思って色々聞こうとしたけど答えてくれなくて、引き攣った顔でお腹押さえながら学校行くから、行かなくていいって言ってんのに行くし。

絶対なんかある。土曜日に時間とって絶対聞き出そうって風磨と話して決めてたんだけど…遅かった。
「ただいま」
「おかえり。聡まだだよ」

いつもよりちょっと遅く、8時前に帰ったら勝利にいの1番に言われた。
「まだって？帰ってないってこと？」
「てか、夕方帰ってきて部屋籠ったと思ったら出てった」
「遊びに行ったの？」
「わかんない。なんも言ってなかった」

「…そっか。俺見てくるわ。風磨に連絡しといてくれる？マリは平気？」
「うん。お気に入りのアニメやすみで拗ねてるけど」
「録画にあるから見せといてやって。行ってくる。帰ってきたら電話して」

いつもなら別に、友達と遊びに行ったんだなって8時半くらいまで心配しつつ待つけど。でも今は…あんなに毎日辛そうにしてたのにこのタイミングで夕方からどっか行くって、なんかあるとしか思えない。

何回か聡のスマホに電話したけど出ないし。LINEも見ないし。結構いろんなとこ探したぞ？小一時間経って見つからなくて、焦り始めたら風磨から電話がきた。

「もしもし？」
「聡の部屋見たらさ、色んなものがないしめっちゃ整理されてるっ…あと、今までありがとって手紙、兄貴の部屋の机の引き出しに入ってた…」
「は？！」

俺の部屋の引き出し何勝手に開けてんだって一瞬よぎるけど、そんなん後だわ。条件揃いすぎてる。なんでもっと早く、無理矢理にでも話聞かなかった！月曜日の時点でちゃんと話しとけば！

風磨にも探させて、そのまま考えたくないけど、入れる屋上があるビルとか色々そういうことに使えそうな場所ばっかり探した。嘘だろ。夕方に出てったって…もうだいぶ経つし。でもニュースになってないからまだっ！！

「聡ー！！聡！！」
もう9時半になろうとしてた。何個目かに入った商業施設のビルの屋上に向かって非常階段上がってたんだ。

「はぁっ…はぁっ…」
必死で駆け上がって、いないで欲しいって思いと早く見つけ出してやりたいって思いとのせめぎ合い。頭の中がもう破裂しそうだよ。そう思って最後の角を曲がったら…ぁ…

「はぁっ、はぁっ、聡！」
「えっ…けんっと、くん？」
階段に座って膝抱えて顔埋めてる聡がいた。

3→←聡

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