5にん 22

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健人side

「聡おいで」
思ったより自分が落ち着けてる。勝利が申し訳なさそうに目潤ませたのは俺も昨日の発言後悔したけど、聡のこと冷静に見れてるわ。

腕引いて立たせてもう涙目になってる聡を部屋に連れて行く。ソファに座って前に立たせる。傷口見たら割とちゃんと手当てされてたから、そのままの方がいいな。

「カッター？」
「ん」
「怒るよ。お前に何があったか知らねーけど、死にたいほど辛かったのかもしれないけど、こないだ言ったよな？自分を大切にできない時は厳しく叱る」

「……っ」
「優しくしない。いじめられて、辛くて逃げたかった？だから切った？そんなの許すわけないだろ。何考えてんだ！」
「っ！！！」
目から涙がツーって流れてる。

「ふざけんなよ？俺がどんな思いでおまえのこと育ててきたと思ってんだ」
多分勝利とかマリにはこんな風に言わない。聡だから言ってる。いじめられてても、ほんとはちゃんとわかってるはず。

「お仕置きするよ。痛みが欲しいなら言えって前に言ったよな？自分を大事にできないのは最悪だ。厳しいぞ」
「…つき」
「聡？」
「嘘つき！！」

そのまま俺の両手振り解いて部屋から出て行こうとしたから、慌てて捕まえる。何？意味わかんないんだけど。何が嘘つき？

「聡！」
「嘘つき！！」
抱き抱えたらバタバタして逃げようとしてくる。どこで間違えた？なんでこんな拒否されてるんだっ

「聡っ」
「離せよ！やめろ！触んな！！」
「頼むから！聡、どうしたんだよ！」
「嘘なくせに！！！！俺が殺したんだっ！！」
「誰を！なんの話だよ！」
「俺がっ殺したんだっ！人殺しなんだっ！！」

もしかして…？
「親の話？」
「そーだよ！嘘つき！！」
「嘘じゃない。ほんとにお前は何も悪くない。何もだ！お前は何一つ悪くないんだ」

「嘘つき！！」
「聡！ほんとだ！誰になんて言われたから知らねーけど、俺の言葉よりそいつの言葉信じんのか？！」
「なんも言われてないし！！消えろ！死ね！！」
「何があったんだよ。何がそんなにお前を苦しめてんだよ。聡」

必死で逃げようとバタバタしてたのに、疲れたのか今度は力が入らなくなってきてる。聡がこんな風になるなんて思ってなかった。いじめられて、辛くて逃げたくて切ったと思ってた。親の話が関係してるなんて全然気づかなかった。

「聡」
「はぁぁっ！はぁっ！はぁっ！ズズッ」
顔が涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってるよ。タオルで拭いてやりながらベッドに座り直す

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